農地法改正により、原状回復等の措置と罰則が強化されています
原状回復等の措置と罰則が強化
転用許可を受けずに農地を転用した場合、農地法に違反することとなり、農地等の権利取得の効力は生じないのみならず、農業委員会は、土地の農業上の利用の確保、ほかの公益ならびに関係人の利益を考慮して特に必要があると認めたときは、無断転用者に対してその必要の限度において、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて原状回復その他違反を是正するため必要な措置を命ずることができるようになったほか、罰則を適用することができることとされています。
また、転用許可を受けた土地が転用目的に供されないまま放置されることは、土地の有効利用、農地法励行の上からみて好ましいことではなく、転用許可にあたっては、転用を完了すべき期限等に関して条件を付しており、許可を受けた者が、この許可条件に違反している時は、事情を調査し、その結果、相当な事由がないにもかかわらず転用事業を着手せず今後も転用事業を確実に行うと認められない時は、農業委員会は許可の取り消し又は許可条件の変更を命ずることができることとなっています。
近年、違反転用の件数は、全国的にも多く見られており、看過できない状況になっています。違反転用の中でも特に、産業廃棄物や建設残土等の捨て場として農地に違法に投棄されているものがあり、土砂の流出や農業用用排水設備の破損等により、周辺の営農に著しい支障を生ずる原因となっているものがあります。
このような状況に対処するためには、何よりも農地の所有者などの遵法意識の向上が求められると同時に、違反転用をするものが『やり得』になるような状態を生じさせないことが極めて重要です。このため、違反転用が発見された場合、最終的には原状回復命令を発することとなりますが、違反転用者の責任者自らが原状回復を行わない場合も、『逃げ得』を許すわけにもいかないため、強制的に原状回復を実行してしまう措置、つまり、『行政代執行』に係る措置が農地法に盛り込まれました。
なお、従来の行政代執行では対応できない、次の場合にも代執行が可能となるよう措置されました。
(ア)原状回復命令に定める期日までに命令に係る措置を講ずる見込みがない場合
(イ)違反転用者を確知できないとき
(ウ)緊急に原状回復措置を講ずる必要があるとき
違反転用に対する抑止力を強化する観点から、罰金額等が引き上げられました。
1(違反転用) これまでは、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は300万円以下の罰金)
2(違反転用における原状回復命令違反) これまでは、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(法人は30万円以下の罰金)
法改正により↓
1(違反転用) これからは、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)
2(違反転用における原状回復命令違反) これからは、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)